紳也特急 100号

〜今月のテーマ『100回学ぶ』〜

●『光陰矢のごとし』
○『サポーター』
●『書くカウンセリング』
○『みんなちがってみんないい』

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●『光陰矢のごとし』
 紳也特急を書き始めてあっという間に100号となってしまいました。それが世界エイズデーの2007年12月1日に出せることは何か偶然のような運命のようなことを感じています。1号目の「握手でHIV(エイズウイルス)はうつる?」にはじまり、「HIVの感染経路再確認」、「包茎について」、「セックスは本能的なコミュニケーション」といろんなことを書かせていただき、読者の方からもご批判を含め多くのメッセージをいただきました。そして1回も欠かさずに書いてきたのは実は自分のためだったとあらためて感じています。
 最初のうちはこれも伝えたい、あれも伝えたいという思いが強かったのですが、途中から書くことを通して、私がメルマガに登録していただいている何百人もの方に、このメルマガを書くことを通して多くの学びをいただいていたようです。そこで、100号のテーマを「100回学ぶ」としました。

『100回学ぶ』

○『サポーター』
 人間は人と人との間でしか健やかに生きられないということを私自身、この歳になって実感しています。家族、友人、職場の同僚はもちろんのこと、私の場合は多くの患者さんたちに支えられているように思います。わが身に起こるつらいことも、「あの患者さんと比べればまだ幸せ」と思えるのはいろんな人と関わらせていただいているおかげです。私は私の周囲の人が一人ひとりを勝手に私のサポーターになってもらっています。
 この原稿を広島で開催されている第21回日本エイズ学会の最中に書いているのですが、学会の会場ではいろんな人との交流の中から自分に足らなかったところ、逆にこちらから発信したいことなどをやり取りしつつ、結局のところ、みんながみんなのサポーターなのだと実感させていただいています。

●『書くカウンセリング』
 紳也特急を書きながら、最近は不思議な感覚になります。自分の思いを描いているだけなのですが、気がつくとまるでカウンセリングを受けているような雰囲気になっていることがしばしばあります。例えば「性教育バッシング」といった風潮があった時も、誰かに頼まれた原稿ではないため、その時自分が何を感じ、それを自分なりに表現すると頭の中が整理されるだけではなく、こころの中も整理されるようです。最近ブログが流行っているようですが、日記風に書いている人たちも私と同じように書くことを通した自己カウンセリングを受けているのでしょうか。
 自分と向き合うことの難しさ。現実と向き合うことの難しさ。人と向き合うことの難しさ。毎日がその連続です。そんな中で定期的に自分の中の思いを、混乱を書くことを通したカウンセリングをさせてもらっていることに改めて感謝です。
 と書きながら、「日本におけるカウンセリングの難しさ」を訴えている自分のことを笑ってしまいました。すべての中学校にスクールカウンセラーが配置されたと聞きましたが、本当に生徒さんはカウンセラーを上手に使えるのだろうかという疑問を紳也特急94号に書きましたが、紳也特急を書きながら自分を表現している私の文書は果たしてちゃんと人にものを訴えるものになっているのだろうかと不安になりました。ただ、こうやって思いを書いている医者がいてもいいかなと自己満足の世界にいます。

○『みんなちがってみんないい』
 山口県出身の金子みすゞさんという詩人の詩「私と小鳥と鈴と」の中に「みんなちがってみんないい」というフレーズがあります。何世代も前を生きた金子さんも、現代の競争社会、序列社会を生きている人たちのこころに響くメッセージをずっと昔に書かれています。私のかすかな記憶の中にこのフレーズが残っているのですが、私がこのメッセージにこころを動かされたのは最近のことと言っていいと思います。
 HIV(+)の人も、性のトラブルに巻き込まれている人も、こころを病み生きづらさを感じている人も、生活習慣病になった人も、一人ひとりがその現実を引き受けつつ、また一人ひとりの生活を続けています。「みんなちがってみんないい」というのはつらい思いをされた人には伝わる言葉ですが、つらい思いをしていない人にはなかなか伝わらないのかなとも感じていますが、このことをどう伝えるかをこれからも考えていきたいと思います。101号以降もよろしくお願いします。