紳也特急 131号

~今月のテーマ『無関心な人 無関心でいられない人』~

●『事例に学ぶ』
○『包茎はむかないのですか?』
●『小児科医は包茎に無関心な人たち?』
○『目の前のことを一つずつ丁寧に』
●『大切なことをきちんと伝えたい』

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●『事例に学ぶ』
ある大学で性に関する一連の講義の一コマを受け持った時の学生さんの感想です

・この授業は受ける度にぐさっときます。それは、私の彼もコンドームをしないからです。この授業では今まで「そんな男と付き合うな」というものが多かったのですが、何度別れようと思っても別れることができません。(岩室先生の話にあった)DVの彼と別れられないって人の気持ち、すごく理解できます。でも今日は別れたくないから、一緒にいたいからこそちゃんと話そうと思いました。頑張ります。

・現代では、インターネットやメールで簡単にコミュニケーションが取れますが、会話というものが一番億劫でつらいものになってしまっているという感覚は、私もわかりました。私は人と会話をするのが好きで嫌いです。昔、人と接することが本気で嫌な時期がありました。その頃私は中学生で、クラスでイジメのようなものにあっていました。あの頃は、何故自分がこんな目にあわなきゃいけないんだ、と思っていましたが、今思い返せば、その理由がわかります。人と接さなかったからです。相手を理解しようともしなかったし、笑いもしませんでした。高校になって、友達も増えて色々な子と接する度、自分を客観的に見つめ直し、改める事ができました。人と接してはじめて、自分がどういう人間かわかった気がします。私は、衝動的に人を殺してしまう犯罪者の気持ちは痛くわかります。わかるからこそ、救えないものかと考えています。こころを病んだ人はたくさんいるのだと、人と接してわかりました。とにかく誰かに伝えるということが本当に大切なことなのだと思います。そして、共感してくれる人がいる事で、やっと苦しみから抜け出せるのだと思いました。本日の講演を聞いて、改めて人と接することの大切
さがわかりました。

・愛の反対は無関心。愛で人を救えるなら、無関心で人を殺してしまえると思います。

どの言葉もずしっとこころに響きます。特に「無関心で人を殺してしまえる」という言葉にはドキッとしませんか。そこで今月のテーマを「無関心な人 無関心でいられない人」としました。

『無関心な人 無関心でいられない人』

○『包茎はむかないのですか?』
先日、ある市の保健師さんから「岩室先生は小児包茎をむかないことにしたのですか?」と聞かれました。厚木市立病院では9月までは帝王切開だけですが、10月からは自然分娩でのお産が始まり、再びおちんちん外来が始まるのを楽しみにしている中で、ライフワークにもなっている(笑)、おちんちん外来(最近は「ぴかちん外来」とも呼んでいます)をやめるはずもありません。私がどこかで包皮翻転指導について消極的なことを書いたことを目にとめられたようです。
確かに最近は積極的に「みなさん、おちんちんをむいて洗いましょう」という単発的な呼びかけはしていません。もちろんHPでもおちんちんのむき方を紹介していますし、名著「OCHINCHIN」は相変わらず売れ続けています。
単発的な呼びかけと、外来での指導やHP、パンフレットの違いがどこにあるのかわかりますか。パンフレットやHPには様々なリスクや、疑問に感じた時の対処法まで丁寧に書かれています。外来で指導を受けた場合、何か困ったことがあれば次の外来に来ればいいだけです。しかし、「むきましょう」の一言だけを伝えると、「むいた」おかあさんが、「赤くなったおちんちん」に驚き、小児科医に相談して「とんでもないことをしているね」とおしかりを受けるのが関の山です。

●『小児科医は包茎に無関心な人たち?』
先に登場した保健師さんが「どうして小児科の先生たちはおちんちんをむくことに否定的なのですか?」と聞いてこられました。実はこの質問はよく保健師さんや助産師さん、さらにお母さんたちから繰り返し受けています。小児科医の先生たちはおちんちんが化膿する亀頭包皮炎を何回となく診ています。しかし、医学部で習う、あるいは臨床の現場で経験する亀頭包皮炎は抗生物質を投与したり、抗生物質入りの軟膏を塗ったりするだけで治ります。小児科の先生たちはそのような経験を繰り返す中でなぜか「治るならそれでいいじゃないか」という発想になっています。そもそも亀頭包皮炎が予防できるものであり、亀頭包皮炎の炎症を治すだけだと包皮口が狭くなり、将来包皮がむけない真性包茎になったり、包皮をむいて洗う習慣が身につかない男たちが増えたりしていることや、包皮内にたまるHPVがパートナーが子宮頸がんになるリスクを高めているといったことなど考えたこともないと思います。それこそ小児包茎に無関心な人たちなのです。
岩室紳也が論文を書き、パンフレットもつくり、HPで情報を公開していることにはまったく無関心。でもしっかりと批判だけはしてくださる小児科の先生たち。本当に子どもたちを愛しているのであれば、ぜひ包茎で引き起こされるさまざまなトラブルにも関心を持っていただき、先生方ができることは何かを考えていただけるとありがたいのですが・・・・・。でも、こう書くとどこからともなく、「プライドが高い医者が他人の言うことなど聞くはずがないですよ」という声が聞こえてきます。無関心が引き起こす包茎をめぐる混乱の被害者は・・・・・。

○『目の前のことを一つずつ丁寧に』
「先生はどうしてこのように恥ずかしいことを平気で、堂々としゃべるようになったのですか」。ある高校で講演したときに出た生徒さんからの質問でした。
目の前のことを一つひとつ対処していくうちに気が付けばコンドームのネクタイをし、生徒さんたちが食い入るよう聞いてくれる講演ができるようになっていました。決して最初からこのような講演をしようとも思っていませんでしたし、そのような講演をする医者になろうと思っていたわけではありません。目の前で起こっていることを解決したい。包茎も、HIV/AIDSも、前立腺がんも、自殺も、メタボも、地域包括支援センターも、健康日本21地方計画の推進・評価も、と書くと本当に欲張りだなと反省させられます。でも、どれが一番大事ですかと聞かれても、どれも大事で、なに一つとっても無関心でいられないのです。一つひとつをがむしゃらにやってきたら、気が付けばある程度一つひとつの問題の真実に近づき、聴衆に喜んでもらえる話ができるようになっていました。
「高校生たちって本当にすごい。この子達と一緒にいると日々新しい発見があります」と楽しそうに話してくれた教頭先生がいました。本当にその通りですよね。同じ人は一人としていません。ましてや成長過程にある子どもたちはそれこそ昨日と今日では人が違っています。しかし、何が、誰がその子を変えたのか、育てたのかはわかりません。でも、食い入るように聞いてくれる子どもたちを見ていると、彼らの前に立つ自分は責任が重大で、日々切磋琢磨しなければ、もっといい話を、もっと考えさせる内容にしなければと思う夏休み前の講演ラッシュ時期です。

●『大切なことをきちんと伝えたい』
生徒さんと一緒に聞いてくださった教師の方から次のような感想をいただきました。
積極的に聞き手に働きかけ(問いかけ)て自分の頭で考えさせようとする講義に感銘を受けました。長年、高校教師として生徒たちに色々なことを教えてきたつもりでしたが、このような授業をどれだけ出来てきただろうかと自らに問いかけ、忸怩たるものがあります。コンドーム柄のネクタイや実演用の模型などの小道具、豊富な事例、巧みな話術、何より「このことをしっかり伝えなければならない」という気迫によって、先生は聴衆の心をしっかりとつかみ、確実にメッセージを伝えられたと思います。最初、生徒たちの反応があまりにも過剰だと感じましたが、正にそれこそが、大切な「性」に正面から向き合えていない証拠だと宣言されて、(多分、生徒たちも)目から鱗が落ちる思いでした。この講演を聞いたことで、生徒たちが自らの「性」と「人生」に、以前よりも真剣に向き合い、より幸せな人生を築きあげることを確信しています。本当にありがとうございました。
講演後、早速、先生のホームページを拝見しました。圧倒的な情報量に衝撃を受けました。講演中にもひしひしと感じられた、先生の使命感のようなものを改めて痛感しました。寄せられた相談には二十四時間以内に回答されたり、お忙しい中でも、ホームページに申し込まれた講演会の依頼には極力応えようとされる姿勢にも、より多くの人々の「性」と「人生」を豊かにする手助けをしたいという気概が感じられます「エイズの人が食べてはいけないもの」から「わが家の猫たち」まで、人生を豊かにしてくれるありとあらゆる情報満載のホームページを、これからじっくり活用させていただきます。
「コンドームの達人」と堂々と名乗っておられる先生は、本当にカッコイイ!と思います。私も大切なことをきちんと伝えられる教師を目指して、日々、精進していきます。

このような励ましに感謝しつつ、7月の講演予定回数を数えたら29回!!!がんばります。

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