紳也特急 198号

~今月のテーマ『Twitterにびっくり』~

○『ある保健師さんの衝撃』
●『理不尽とは』
○『リツイート3,905回』
●『TENGAを健全育成器具に!』
○『TENGA使用の法的問題』
●『教科書で教えたいマスターベーション』
○『マスコミが初めて取り上げたPSA検診の問題点』

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○『ある保健師さんの衝撃』
中学校での性教育の調整をしてくださっている保健師さんからの報告。
衝撃的な生徒さんの様子を聞きました。もはや、男女とか性とかのレベルではないなと…この子たちが、生きていけるか心配です。
 生徒の様子
 ・コミュニケーションが苦手な生徒が多い。
 ・仲の良い友人関係ではなく、あたりさわりのない友人関係
 ・ケンカの後の仲直りの仕方がわからなくてケンカができない。
 ・自分の気持ちを伝えられなくてモヤモヤした友人関係をつづける。
 ・1回のケンカが絶交になる。
 ・高校生になって人間関係が広がったときにどのように人間関係をつくっていくのか?大人になってからストレス社会でやっていけるのか?が、心配なところ

講師への要望
上記のような状況であるため、生きる力・命の大切さについてボリュームを大きくお話をお願いしたい。
 *モヤモヤした気持ちの対処ができなくて→孤立・ひきこもり
 *人間関係が嫌になって→自殺           …と、ならないように。

 いやはや、何とも難しい注文です。講演の後に不登校や自殺が出たら講師の責任なのでしょうか(苦笑)。
 子どもたちのこのような現状についてはいろんなところで伝え続けているつもりですが、この保健師さんにとっては「初めての気づき」だったようです。やはり人は講義等で聞いても、自分で実際に経験しないと実感がわかないのでしょうね。ぜひ多くの関係者と共にこのことについて一緒に考え続けたいのですが、伝えることって本当に難しいと感じています。
 伝えることが難しいからか、もともと人間は考えることが苦手なのかわかりませんが、相変わらず自分の考えや価値観を押し続け付け、健全なものを有害として18歳未満に販売できない社会が存在します。考えること、議論をすることを放棄し、誰かに言われたままどんどん手術をしたりしている人もいます。どうしてそのような理不尽が繰り返されるのでしょうか。「理不尽」をテーマにしようと思っていたら、同じ理不尽と思っていることでもSNSですごく反応があったものもあれば、まったく無反応のものがありました。そこで今月のテーマを「Twitterにびっくり」としました。

『Twitterにびっくり』

●『理不尽とは』
 広辞苑で「理不尽」を調べると「道理に合わないこと」とあります。「道理」は「ものごとのそうあるべきすじみち。人の行うべき正しい道」だそうです。さらに次のような言葉も紹介されていました。「道理を破る法はあれども法を破る道理なし」。本当にその通りですね。
 世の中には「そうあるべきすじみち」ではないことがまかり通っていますし、それらに一つずつ反論しているとストレスが溜まります。しかし、理不尽、道理に合わないことを放置することはできない性分なのでしょうか、自分が納得できないことは発信し続けたいと思い、いろいろと手を変え、品を変えてやっています。情報発信の手段としてTwitterやFacebookを使っていますが、二つの情報を発信したのに方やリツイートが3件なのに対して、もう一つは3,905回でした。

○『リツイート3,905回』
 Twitterでのリツイート回数3,905回という経験をさせてくれたのは1月27日につぶやいたものでした。これまでのツイートを調べなおしても130回というのが最高だったので、あまりリツイートについても関心がなかったのですが、今回は携帯のバイブレーションがうるさくて切ってしまうほどでした。内容は以下の通りです。

 床オナ(床等にこすりつけるマスターベーション)による膣内射精障害の治療具として、泌尿器科医が患者さんに勧めるTENGAが18禁扱いになっていると高校生に教えられました(不勉強に<m(__)m>)。
 青少年育成条例で有害玩具に分類されるとか。
 有用玩具にしてもらう運動が必要かも。

 床オナの深刻さは、実際に中高生を前に話をすると、彼らの中での驚き、戸惑いだけではなく、後からくる「手でやったのですが、全く射精ができません。どれぐらいで治りますか」といったメールからも深刻さが伝わってきます。
 今回、リツイートがこれほどの数に上ったのは、TENGAへの関心の高さもさることながら、実はリツイートしてくれた人たちの間で床オナが浸透していたり、実際に膣内射精障害になっている人が少なくなかったりしたのではないかと思いました。

●『TENGAを健全育成器具に!』
 今回、TENGAが青少年健全育成条例で有害玩具に分類されないように自主規制をしているということを知ったきっかけは、男子校での講演でした。床オナから膣内射精障害になり、TENGAを使った治療をしなければならない大人が増えているという話をしたところ、聞いていた高校生から「TENGAで射精ができるようにしたいと思ってもドンキでも18禁で買えません」と訴えられたのでした。TENGAの担当者に問い合わせ、自主規制の存在を知りました。
 マスターベーション、オナニーは非常に健全、かつ健康的な行為です。しかし、健全な性情報が共有されていない世の中になっているため、正しいマスターベーションを補助し、時には何が正しいマスターベーションかどうかを教えてくれるTENGAは「有害玩具」では絶対ありません。そもそも「玩具」に分類すること自体、不健全な、若者たちの状況を知らない大人たちの理不尽な発想です。TENGAはむしろ「青少年健全育成器具」として教育委員会の推薦器具にすべきです。

○『TENGA使用の法的問題』
 法的には女子は18歳未満でも母親になれますが、男は父親になれません。少し屁理屈をこねて解釈すると、18歳未満の男子はコンドームなしの膣内射精は禁止ということになりますので、妊娠を目的とした膣内射精障害の治療自体は18歳未満には禁止されていることになります。しかし、コンドームが18禁ではない以上、18歳未満の男子もコンドームを使用すれば膣内射精は法的にはOKとなります。最近、「コンドームを使うと萎える」という相談も多いため、コンドームを使った膣内射精のトレーニングとしてTENGAを使うことを18歳未満に勧めるのであれば法的な問題はないはずです。それこそセックスをする前に、コンドームを装着した状態でTENGAを使って射精する練習を義務付けてもらえると、望まない妊娠、性感染症だけではなく、床オナや膣内射精障害を減らせるはずです。

●『教科書で教えたいマスターベーション』
 マスターベーションは自然と覚えるものだと思っている大人たちがあまりにも多いため、TENGAの問題が生じたと思います。床オナが若者たちの将来の健全な性生活を奪っているとしたら、ぜひ予防教育という視点で、教科書の中で「正しいマスターベーションの仕方」を教えてもらいたいものです。
 いま、中学校の教科書には「思春期には、自慰のことで悩む人も多いようですが、健康に過ごせるのなら、その有無や回数などで悩む必要はありません」と書かれています。これを次のように修正できないでしょうか。
 「思春期には、友達同士で正しい性情報の共有を行わなかった結果、床やベッドにこすりつけるなどの間違った自慰の方法を学習してしまい、将来、子どもが欲しいと思った時に適切な部位に射精が出来ないという男性が増えています。自慰を昔は手淫と言っていたように、必ず手を使った自慰を学習しましょう」と。

○『マスコミが初めて取り上げたPSA検診の問題点』
 理不尽、道理に合わないこと、というか、そもそも科学的な検証が行われていないのが前立腺がん検診と称して行われているPSA検診です。紳也特急の81号やHPにも詳しく書いていますが、そもそもこのような検診がこれほど広がったのも「射精」への無関心、無理解からかもしれません。
 高齢者にとって前立腺が不要な臓器と考えられているからのようです(苦笑)。50歳を過ぎてから子どもをつくろうと思う人は激減するでしょうし、セックスもそろそろ卒業してもいいと思うのか、手術の後遺症として射精障害があることを伝えてもそのことを受け入れられる人が多いようです。尿失禁も手術方法の工夫等で改善したなら「がん細胞が見つかったのであれば取ってしまってもいいんじゃないですか」という発想になる人がいても不思議ではないのかもしれません。
 しかし、50歳代の12.1%が、60歳代の21.7%が、70歳代の34.7%が前立腺がん細胞を持っています。またPSAはがんか否かのカットオフ値はないことも明らかになっています。それもそうですよね。60歳代の男性なら5人に1人は前立腺がん細胞をもっているのですから、PSA値が低いから「前立腺がんは心配ありません」という保健医療関係者がいたとしたら、それは「ウソ」になります。
 このことをいくら訴えてもマスコミは振り向いてくれなかったのですが、先日「夕刊フジ」が取り上げてくれました。そのことをやはりTwitterで書いたところ、リツイートはたったの3回でした。約4,000回の床オナ&TENGAとそん色のない重要な話題だと思うのですが、そもそもTwitterを使っているのは若い世代なのでしょうね。高齢者問題をTwitterに放り込んでもほとんど意味がないということを実感させられました。