紳也特急 202号

~今月のテーマ『ダイエットが成功しつつある理由』~

○『オナニーの心配』
●『RCA(根本原因分析法)』
○『ダイエットのきっかけ』
●『本来目的とは別の結果』
○『「やせました?」という励ましの声』
●『日常的な関係性が築けるか』

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○『オナニーの心配』
 女性のオナニー、マスターベーションに関する情報が不足しているのか、いろんな相談が舞い込みます。
 はじめまして。私は高校生の女で、処女ですが、たまにオナニーをします。でも手を入れたりはしないです。手を入れなくても筋肉が緩くなったり、穴がひろがったりするのかどうか気になります。私には恋人がいますが、はじめてセックスをすることになった時、ガバガバだったら引かれてしまうか心配だからです。オナニーをしている女だと知られたくなくて怖いです。オナニーをしていることは、誰にも言っていません。返信待っています。
 男子でさえも自分のオナニーの話を仲間としなくなっているので、女の子はもっとできないのでしょうね。やりとりをまとめると次のような情報を伝えていました。
 高校生でも、処女でもオナニーをする女性は大勢います。オナニーやセックスで気持ちがよくなると腟が膨らむのが普通で、これをバルーニング(風船のように膨らむ)現象と呼びます。気持ちよくなるのは性感帯と言われるところを刺激し続けた場合です。腟の中に手やペニスを入れたからといって性的快感が得られるものではありません。だからセックスをしても気持ちよくならないという女性も大勢います。
 女性のことがわかっていない男から「彼女がガバガバですが・・・」という相談が寄せられますが、私は次のように返事をします。「彼女の腟が膨らみ、「ガバガバ」と感じるのは、彼女があなたとのセックスで気持ちよくなっている証拠です。プロの女性とセックスをして腟が狭くて気持ちいいのは、プロの彼女たちはただ早く男たちを射精させるために腟を絞めているだけです。」と。
 オナニーと違い、恋人と初めてセックスをすることになった時は緊張したり、相手がただただ腟に入れようとして腟が縮んで痛くなる可能性もあります。セックスで大事なのは、あなたがどうしたいのかということです。本当にセックスがしたいのか、彼と触れ合っていたいだけなのか、ペニスを腟に受け入れることをしたいのか、セックスの結果でコンドームが破れて妊娠する可能性もあることを承知でセックスを受け入れるのか、などを考えて選択することです。オナニーはし続けても恋人とのセックスはしない人という人もいます。恋愛を大いに楽しんでくださいね。
 思春期の性の問題は、悩みが解決したか否か、セックスをしたかしなかったか、病気や望まない結果になったか否かの「結果」で判断しがちです。しかし、一番大事なことは、その状況に至った根本原因ではないでしょうか。そこで今月のテーマを「ダイエットに成功しつつある理由」としました。えっ、何で?と思ったかもしれませんが、お付き合いください。

『ダイエットが成功しつつある理由』

●『RCA(根本原因分析法)』
 「児童虐待による死亡事例の検証の充実を」という記事が目に飛び込んできました。書いている方はその方法としてRCA(Root Cause Analysis=根本原因分析法)を用いるべきと書かれていたので、思わず「またか?」と思ってしまいました。
 児童虐待の原因を考える前に、オナニーで悩む女子高校生のRCAをしてみてはどうでしょうか。
 ・そもそも彼女はオナニーをどうやって覚えたのか?
 ・オナニーをしている女だと知られたくないと思った理由は?
 ・「ガバガバ」という言葉をいつ、誰から、どうやって知ったのか?
 ・セックスが当たり前のような雰囲気になぜなるのか?
 こうやって、身近な性の相談内容であっても、様々な疑問が沸いてきます。もちろんこの女子高生がネットサーフィンをしている内にいろんな情報にたどり着き、悩みを深めていったのかもしれません。しかし、同じようにオナニーをしつつも悩まないでいられる人と彼女の違いは何なのでしょうか。それこそが解明、分析が必要な根本原因なのです。
 「児童虐待死亡事例を検証する際に、事例の支援にあたっていた児童相談所、市町村保健師、保育士などに死亡に至った状況などのヒアリングを行う。その際に支援者は『責められ感』を持ってしまうことを感じる」と「分析」しているものの、日本社会がそもそも「原因分析」の結果をすべてと言っていいほど当事者、関係者の責任にしてしまい、今や恋人同士でも「嫌われたくないから」と自分が嫌なことまで受け入れてしまう国民になっていることの「原因分析」を怠っていないでしょうか。

○『ダイエットのきっかけ』
 前回の紳也特急で紹介したように、今回のダイエットのきっかけは「脂肪肝」と言われたことでした。しかし、血液検査が一つも引っかかっていない脂肪肝なので、治療的な意味でダイエットは必ずしも適切な対処法ではありません。では、なぜ、今回ダイエットを始め、1か月半で3キロの減量ができているのでしょうか。
 人間ドックの担当の先生も、セカンドオピニオンを求めた放射線科の先生も限局性脂肪肝の症例はあまり診たことがないようで、その治療について正直なところすっきりするアドバイスをいただけませんでした。ちなみに一般的に脂肪肝と言われるものは肝臓全体に脂肪認められるびまん性脂肪肝です。限局性脂肪肝についてネットを調べてもやはり漠然とした記述しかなく、挙句の果ては「緑茶を飲んで脂肪肝の予防を」といったものまでありました。「アルコール性の脂肪肝の場合は、放っておくと肝硬変に進むこともあります」という記述にはあきれるばかりで、それは「アルコールが原因ですか。それとも脂肪肝が原因ですか」と聞きたくなりました。
 結局のところ、今回指摘された限局性脂肪肝が「こうすれば消える」といった情報はなく、逆にこの脂肪肝を解消することができれば若い研修医の「症例報告」の材料になるのではないかと考え、アルコールの減量とダイエットをすることにしました。

●『本来目的とは別の結果』
 自分勝手な脂肪肝の原因分析をすると、ビールよりも濃度の高いアルコール(日本酒やウィスキー)が肝臓で分解された結果の脂肪肝だとすると、高濃度のアルコールを摂取しないことが一番治療効果を上げる。逆に限局性脂肪肝の症例が少ないのは、多くの場合、同じような飲酒状況にある人が、正常→限局性脂肪肝→びまん性脂肪肝へと移行する途中過程で見つかる人は少ない。だとすると、高濃度アルコールをやめること、アルコールの絶対量を減らすことで限局性脂肪肝を改善できるのではと考え、一日の酒量を350mlの缶ビール一本としました。ただ、いろんな付き合いの席ではほどほどに飲むようにはしています。
 このアルコール減量法を開始してわかったことが、いかに自分がアルコールをおいしく飲みつつ、そのアルコールに合わせて食事を楽しみ、食後のチョコレートなどのお菓子を楽しんでいたかということでした。すなわち、アルコールの減量が結果として摂取カロリーの低下を招き、現在のところ3キロのダイエットになっています。

○『「やせました?」という励ましの声』
 目的は明確でも、毎日大量にアルコールを飲んでいる方が楽しいのは間違いありません。そのような状況の中でモチベーションを維持し続けるには、結局のところ支えてくれる人がどれだけいるかでした。家内はもちろんのことですが、マンションの掃除のお姉さんが「岩室さん、やせました?」と声をかけてくださったり、擦り切れたジャケットを買い替えに行ったら店員さんに「岩室さん、前より一回りやせましたね」と言われたりしています。でも、普段から付き合いがない人が「やせましたね」という声かけをしてくれるはずがありません。それどころか、人間ドックで「腹囲は基準を超えていますね」と言われようものなら、「何が悪い!?!」と反発をすることはあっても、私の場合はその気持ちをダイエットにつなぐことはありませんでした。
 ここでぜひお伝えしたいのが、どうしてマンションの掃除のお姉さんが声をかけてくださったのかということです。マンションの管理組合の理事長を引き受ける前から会えばいつも挨拶を、そして時には世間話をしていました。今回もお酒を減らしているという話から、その方がビール好きだとか、亡くなったご主人もお酒が好きだったことなどの立ち話をしていました。
 ジャケットを買い替えた店も、実はいつも買っているところで、店員さんとも顔なじみになっているだけではなく、何かと世間話をする間柄でした。ちなみに今回の世間話で面白かったのが、その紳士服の店の店員さんみんながユニクロの愛用者だったということでした。

●『日常的な関係性が築けるか』
 人間関係が面倒だと思っている人が少なくありませんが、今回、結果的にダイエットが成功しつつあるのも、いろんな人と今の状況をシェアできているからだと考えています。最近、森永卓郎さんがダイエットに成功したというRIZAPも一緒に考えてくれるトレーナーの存在が成功率を高くしているポイントではないでしょうか。
 急がば回れではないのですが、日常の中で人間関係、絆(きずな+ほだし)づくりが苦手な人は、そこを克服するところから取り組まないと、一度は成功しても、結局のところリバウンドすることは目に見えています。RCA(Root Cause Analysis=根本原因分析法)を用いてここまで解析できているのであれば、世の中はもう少しよくなっていると思うのですが、なかなかその方向に向かいません。
 どうしたもんじゃろのぉ・・・・・