紳也特急 21号

〜今月のテーマ『感染症との共生(C型肝炎編)』〜

●『パソコン利用者はご注意を』
○『読者からの質問』
●『感染症との共生(C型肝炎編)』
○『わが家も(!)感染症の宝庫』
●『何で今さらC型肝炎』
○『HCVに感染したら』
●『HCV感染告知とその後の人生設計』
○『HCV感染が受容できない人は』
●『自分だけは大丈夫?』
○『HCVの感染経路』
●『HCV感染が多い地域』
○『HIVとHCVの重複感染は本当に気の毒』

◆CAIより今月のコラム
「Job hunting」

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●『パソコン利用者はご注意を』
 3年前にB5サイズのノート型パソコンを購入後、保健所、病院の仕事場はもちろんのこと、旅行先にも常に持ち歩いてきました。パソコン依存症を自覚せず、最近は仕事だけではなく、デジカメ写真の印刷加工も楽しんでいました。 ところが平成13年4月19日14時55分、会議中に議事録を打っていたら電話がなりました。急いで電話を取ろうと立ち上がった瞬間「バシャーン」という音と共にパソコンは床に落ち液晶が虹色になっていました。一瞬頭の中が真っ白になるかと思えばそうでもなく、結構冷静に『ハードディスクが生きていればこの操作でシステムを終了(シャットダウン)することができる』と思いながらスタート(Windowsマーク)→U→Sの順にキーを押すとシステムが終了しました。すぐに事務所に戻り、再起動の上デスクトップパソコンのモニターにつないだ(ここが少々慌てていてつないでから再起動しなければだめな)のですが画面が表示されません。とりあえず諦めてSONY VAIO PCG-505R/DKのカタログを手がかりに厚木市内のパソコン店、電気店を調べてもらい1台確保し(ラッキー)帰りに買っていきました。翌日、ハードディスクの一部が壊れていたのが判明したのですが、データは全部保存できました(ホッ)。みなさん、パソコンを落とさないようにしましょう。

○『読者からの質問』
『人体とウィルス』イミダス特別編集(集英社)ではC型肝炎ウィルスについては性行為による感染はきわめて稀であると書かれていましたがニュースではHIV感染者の中にC肝炎ウィルス感染者が多いと聞きましたが矛盾しませんか?

そこで今月のテーマは

●『感染症との共生(C型肝炎編)』

○『わが家も(!)感染症の宝庫』
 何を隠そう、わが家は感染症の宝庫(?)です。私自身、B型肝炎ウイルス(HBV)の抗体を持っています。B型肝炎の予防接種をしたこともなく、輸血、血液製剤使用、そしてセックスの経験がない時点ですでに抗体を持っていました。両親は感染していません。おそらく私が生まれた昭和30年前後は注射針を換えずに予防接種をしていたのでその時にわずかな量のHBVが体内に入って抗体ができたのだと思います。父は昭和30年に受けた肺結核の手術で輸血しC型肝炎ウイルス(HCV:Hepatitis C Virus)に感染しました。当時は売血を買って輸血しましたので同じ人から血を買った人はみんな感染したのでしょう。

●『何で今さらC型肝炎』
 現在、肝炎を起こすウイルスは数多く確認されています。1995年にはG型肝炎が輸血で起こるということが報告され話題になりました。ところが厚生労働省が最近になって「血友病以外の病気で非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けた可能性のあると思われる方は、なるべく早く血液検査を受けて下さい」と喚起しています(http://www.mhlw.go.jp/houdou/0103/h0329-1.html)。何で今さら(怒り)という気がしてなりません。こんなことは薬害エイズの被害者である血友病の人たちがHIVとHCVの重複感染を起こしていることが明らかになった時点からわかっていたことです。「感染症と共生している」という発想がないと、問題が発生してから慌てて後追い対策をとることしか思い浮かばないのでしょう。

○『HCVに感染したら』
 HCVに感染した後、何もしなければ30年前後で肝硬変や肝臓癌になり死の転機をたどる人がいます。しかし、これも個人差や他の要因(飲酒、等)がからんでみんなが悪化するわけではありません。そして、HCVのタイプによってはインターフェロン療法が奏効し血液検査でウイルスが検出できない状態になる人もいます。しかし、この割合は全感染者の1〜2割程度で、ウイルスのタイプ、感染してからの時期や体内のウイルス量によって効果が変わり、効いたとしても効果がどれくらい持続するのかは今後の研究課題です。インターフェロンが奏効する人がいるという点ではHCVの検査を受ける意味はあると思いますが、知らぬが仏という選択肢もあるはずです。

●『HCV感染告知とその後の人生設計』
 HCVに感染していることがわかったときに、誰しも治療してウイルスを体の中から追い出そうとするでしょう。しかし、インターフェロンが効かなかった時、あなたならどうしますか? 私の父の場合は将来肝臓癌になる可能性があるということを受け入れざるを得ませんでした。そして、定期的に癌を早期発見するための検診を受け、そして万が一の発病時にどう肝臓癌を受け入れるかを常に考えていました。父は、癌が発見されれば積極的な治療をしつつ、残された人生を精一杯生き、最後は痛みだけはないようにして欲しい、という結論でした。そして、最初に肝臓癌が発見されてから7年後に自宅で亡くなりました。C型肝炎と判ってからは海外旅行をはじめ、人生を精一杯生きてくれたので家族としても悔いはありません。ある意味では経過の長い病気であるだけに、その経過を含めてどう生きるか、どう病気と向き合うかを考えられたという点ではよかったと思っています。

○『HCV感染が受容できない人は』
 HIVにしてもHCVにしても感染していることを受け入れることは大変なことです。しかし、HCV対策の場合、HIVの教訓にほとんどと言って良いほど学んでいません。HCV感染では治療はしたけどウイルスが消えず肝臓癌になる恐怖と向かい合わなければならない人に対してHIVのようなカウンセリング体制が確立されていません。最近、癌の告知を望む人が増えてはいますが、最悪の事態を受容できない、想像できない人はいざという時にパニックになります。そのような人を支える体制、そしてそれを経済的に、システムとして支えることを厚生労働省は考えているのでしょうか? 考えていないでしょうね。
 現在、全国の保健所でHCVの無料検査を実施しています。私がいる保健所では事前、事後カウンセリングを徹底していますが、陽性になった場合、紹介した病院でHIVのようなカウンセリング体制を取ってもらえるとは思えません。

●『自分だけは大丈夫?』
30年ほど前に輸血を受けた人が母子感染を心配して20台後半のお子さん2人を連れて検査を受けに来ました。30年前の輸血ではHIV感染はなかったでしょうから、HIVの検査は必要ないのではないでしょうかという話をさせていただいても、感染していないことの確認をしたいということでした。万が一お子さんがHIVに感染していたら、それもセックスで感染していたら本人、家族がその事態を受け入れられるのでしょうか。とにかく「自分達は大丈夫」というお墨付きをもらいたい人にとっては「万が一の感染」という事態は想定できないようです。

○『HCVの感染経路』
 HCVはHIVと同様血管内注射と性行為で感染します。性行為での感染についてはどのような割合で感染するのかについて正確にはわかっていませんがセックスでの感染力はHIVより遥かに弱いことは明らかです。日本では少なくとも江戸時代からHCV感染はあったと思われるので、HCVは性感染症として細々と子孫をつないできました。日本でも夫婦間のセックスで感染があったことは明らかになっていますが、では、「どの程度のウイルス量」をもった人が、「何回コンドームなしのセックス」をして感染するか、「アナルセックスではどうか」というデータはありません。

●『HCV感染が多い地域』
 C型肝炎は西日本に多いことが明らかになっています。どうして地域性が出たのかについては明らかにはなっていませんが、戦後に滅菌が徹底されていない医療行為で感染が広まった可能性が高いようです。問題は、血液製剤使用による感染リスクの周知徹底をするのであれば、どうして戦後西日本に住んでいた方は感染リスクが高いので検査をお受けになることをお勧めしますという呼びかけがないのでしょうか。そのような呼びかけをすると西日本地域に住んでいる人に対する偏見や差別が起こると懸念したのでしょうか。

○『HIVとHCVの重複感染は本当に気の毒』
 薬害エイズの被害者の多くはHIVとHCVの両方に感染しています。どちらも血液製剤による感染です。そのことはお気の毒だと言わざるを得ませんが、その人たちの苦しみに学び、どう「感染症と共に生きる」かをもっと真剣に考えないと、検査を受けて『私は大丈夫』という人を増やすだけでは何の進歩もないと思うのですが、皆さんはどう思われますか。

◆CAI編集者より今月のコラム

「Job hunting」

 人の移動も落ち着き、日常生活にもやっと落ち着きが戻ってきた。履修も済んで、奨励金の申請も済んだ。あとは、落ち着いてやりたいことをやるばかり。そんな有意義なことを言っている場合じゃないよと、就職活動中の仲間は口々に言っていますが。そうですね、実際は・・・・
 大学4年生の私にとって、今が一番大切な時期。今日も明日も明後日も、汗臭いリクルートスーツを着て、毎日どこかの会社を駆けずり周ってるはず。就職活動中の仲間に常に心がけてもらいたいことは、毎日付き合う一着のリクルートスーツにファブリーズをして、陰干しすること。あの人臭うなんて思われたくないでしょ。私も嘗てはそうでした。毎日ファブリーズをして、ワイシャツにアイロンをかけて、これがとても面倒くさい作業。結局は襟と袖の見えるところだけしかアイロンをかけず出かけていましたね。
 今となっては懐かしい思い出。私は早くも就職活動を止めた。ただの落ちこぼれ?かもしれない。でも、将来何がやりたいのかなーと考え、来年4月の自分の姿を想像してみたが、 何かパッとしない。それはまだ、語学の習得という、やりたいことが残っているから。1年間のアメリカ留学や、アルバイト先で英語での接客等経験しているが、まだ納得がいかない部分が大いにある。語学力だけでなく、内面的にもまだまだ磨き足りないところがある。仕事をしながら習得する方法もあるだろう、でも、私は会社員になる道は選ばないことを決意した。いつ何が起きてもおかしくない、一度きりの人生だから、私は自分のやりたい英語の勉強を続ける。そこで問題となる金銭的現実だが、私はとても良い制度を見つけたのだ。
 もし合格すれば、世界の何処かの国に、2年間の派遣に送り出されているはずである。
  現在は、それに合格するために、勉強中だ。
  そう、私の就職活動は2年後に始まるのだ。

                             N・W