紳也特急 224号

~今月のテーマ『1時間余の出会い』~

●『命の授業の感想』
○『性教育は自殺対策』
●『7年間に感謝』
○『1時間余と7年間』
●『言葉遊びも大事』

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●『命の授業の感想』
 はじめは性に関しての拒絶がありましたが、話を聞くうちにあまりいやではなくなりました。また、下ネタ=変態、というイメージがとても強かったのですが、そうゆう知識があっても変ではないというのがわかりました。(中3女子)
 今までのこう言った授業とは違って、オブラートに包まずに話されていてとても楽しく、真剣に聞くことができました。授業の中でこんなに笑ったのは初めてです。(中3女子)
 講演会を聞くまでは「どうせきれいごとを並べたような話だろう」と思っていました。しかし、現実味のある、これからの人生に生かすことができる内容でした。先生の言葉を忘れずに、人生を歩んでいきたいと思います。(中3女子)
 性のことというより、先生の生き方や様々な人の話をきくことができて、とても面白かった。これまで他人の人生というと、親やテレビなどで具体的にはわからなかった。でも先生の体験などの話がとても身近であるように感じた。自分にも祖父祖母がいるのでいつ死んでもおかしくない。とてもあり得る話だった。自分は医者は無理ですが、それでも自分なりの目標を見つけたいと思いました。(中3男子)
 僕は今年私立を4校受けましたが全て落ちてしまいました。ものすごく悔しく、みじめでした。でも、今日の講演を聞き、「今」を一生懸命、逃げずに、楽しく生きることが大切だと知りました。本当にありがとうございました。小さいころから医者が将来の夢で、中学であきらめかけていました。でも、今日もらった言葉を胸に、挫折することもあると思いますが、逃げずに頑張りたいと思います。(中3男子)
 私は、先生が死の話をしているとき、とても真剣に聞いていました。私もつい最近「本当に死んでもいい」と考えていました。その時、私は文字にして1人の男子に相談しました。今日の話を聞き、話し言葉にすることが大切なことだと思いました。今日はありがとうございました。(中3女子)
 人と話すことがストレス発散の1番の方法だと知ったことが驚きでした。確かに何かを相手と向き合って話すことはとてもリラックスできます。だからこそ、SNSは便利ではあるけれど、危険で、かつ人間関係築くことなどには不向きなんだと再認識させられました。しかし、私もそろそろ使い始めなくてはならなそうなので、SNSはストレス発散ツールではないと頭にしっかり叩き込んで使おうと思いました。(中3女子)
 生を受けるとは、どんなに大変なのか、改めて考えさせられた講演会でした。母はよく、私が生まれた時のことを話してくれます。いつも「命がけで生んだんだからね」と言われ、その実感が今日わきました。これからも生んでくれた母、今まで支えてきてくれた人皆に感謝の言葉を絶やさずに、生きていきたいです。(中3女子)
 今日のお話を聞いて思ったことは、自分は命のことや体のことをよくわかっていないということです。私は2回葬式に行きました。二人は私の祖母と、祖父の親で面識はありませんでした。もっと近い人の葬式などに参加しないと理解できないのだと思います。もしその時がきたら、今日の話を思い出したいと思っています(中3女子)

 たった1時間余の講演の中からいろんなことを感じ取ってくれているのを目の当たりにし、もっとこれらの出会いを大事にしなければと思い知らされました。そこで、今月のテーマをストレートに「1時間余の出会い」としました。

『1時間余の出会い』

○『性教育は自殺対策』
 2月末から3月の半ばまで、怒涛のように学校での講演が組まれていました。一方で学校側も予算がないため、いろんな予算を使って講演を実現してくださいます。あるところでは「自殺対策」の予算で講演を組んでくださったのですが、予算担当の方にすれば「何で性教育が自殺対策になるのですか?」という率直な疑問をぶつけてきてくださいました。いろいろ話させていただいたのですが、やはり、というか、当たり前だと思いますが、納得していただくには至りませんでした。ただ、論より証拠、ということで実際に講演を聞いていただき、生徒さんの感想を読んでもらうことで、自殺対策事業としての講演を評価していただくことになりました。その結果、「性教育というより、生き方教育であり、まさしく自殺対策ですね」という評価をいただきました。

●『7年間に感謝』
 東日本大震災から7年。佐々木亮平保健師に声をかけてもらい、最初は東北新幹線が不通の頃は、羽田花巻間に臨時に開設された飛行機で入っていた陸前高田市での7年間で多くの出会いと学びをいただきました。「人は経験に学び、経験していないことは他人ごと」という、今では自分の中での確固たる信念になったこの言葉も、やはり陸前高田市、そして女川町の人たちとの関りがなければ気づけないことでした。
 この7年間を正直に振り返ると、それなりに上手く行った活動もあれば、「あの時間は何だったんだろう」、「岩室紳也の存在自体が迷惑だった」と反省しきりの関係性もありました。性に関する話も同じで、「よかった」と思う人もいれば、「聞きたくなかった」と思いながら聞かされている人も常にいます。全員が「よかった」と思うようなことはどの世界を見てもあるはずがありません。だからこそ、最初は拒否的でも、最後は「よかった」と思ってもらえる人を増やす努力とともに、「いや」という一方的な、一対一の関係性での拒否ではなく、「岩室の話はついていけないよな」や「岩室の話は聞きたくないと思わない」でもいいので講演がいやなものとして「人は話すことで癒される」題材になることを目指さなければと思いました。

○『1時間余と7年間』
 講演を聞いてくれている人と関わっているのはたった1時間余という短い時間です。一方で陸前高田市とは月に1回程度でしたが、7年間にわたる長い付き合いでした。どちらも自分にとってすごく大事な時間。その陸前高田市との長かったお付き合いを直感的に「この3月で終了しよう」と思ったものの、「何故そう
思ったのか」というのを自分の中できちんと言葉にして整理できないままこのメルマガを書き始めていました。
 たった1時間余の講演であっても、その場は自分にとって、その場にいてくれる人たちと真剣につながる場です。陸前高田市に通い続けた7年間もそうでした。1時間余の講演でも、7年間の陸前高田市での時間でも同じような思いになれたのは、それこそ生徒さんの感想ではないですが、「『今』を一生懸命、逃げずに、楽しく生きる」という、目指すべきものがあったからでした。今年度の岩室紳也の肩書は「陸前高田市被災地絆(きずな+ほだし)づくりアドバイザー」でした。そのため、岩室紳也は「陸前高田市被災地絆(きずな+ほだし)づくり」にどう貢献するかという目標に向かって、ああでもない、こうでもないといろいろと仕掛け続けていました。しかし、復興予算が平常時の予算枠に代わり、いろんな予算を工夫して岩室紳也が陸前高田市入りをする費用は捻出できたものの、一番肝心な「何のため」という自分の中での思いが保てなくなっていました。思いを保つには、自分だけではなく、周りとのかかわりが大事です。そんな時、「協働は、目的と課題を分かち合うこと」という言葉に出会いました。「目的と課題の分かち合いが最も大事」という気づき。もやもやしていた気持ちがすっきりした瞬間でした。

●『言葉遊びも大事』
 ネットから寄せられる相談や質問も、実はその人とつながる大事な時間です。SNSやネットが問題ではなく、それをどう使うかが問題なので、常に、相手を想像しながら、偉そうですが、その人が育つ上で少しでも役に立てばという思いでやり取りをしています。

> 先生の講演でコンドームの重要性を知ったのですが簡単に手に入ります?
> また、買うときとかレジとかで恥ずかしくないですか?
コンドームを買う時の恥ずかしさを乗り越えられない人は使う資格なしです。
頑張って買いましょう、友達と一緒に。

> 一番手に入りやすいのは何ですか?
一番手に入りやすいのはコンビニのコンドームです。

> コンビニに売ってるんですか?!
自分で確認もしないで質問するというのは変ですよね。

> またコンビ二のって信用できます?
信用しないのであればどこのを信用するのですか?
コンビニのジュースを信用しないのですか?

> ごめんなさい

 こんなやり取りに付き合うのはばかばかしいと思われた方もいるでしょうが、私はこの「今」を大事にしなければと教えてもらった思いです。「今」を大事にするためにも、「何のために」、「目的と課題」を常に考え、意識しながら「出会い」を増やし続けたいと思っています。人のためにも、自分のためにも。