紳也特急 44号

〜今月のテーマ『大切なこと』〜

●『読者からの名句を一つ』
○『小学校の養護教諭の先生からのお便り』
●『「きのこだ!」』
○『大切なこと』
●『人と接する面白さ』
○『決断の時』
●『一人一人がくれる感動』
○『公務員歴22年でいただいたもの』
●『自分にとって大切なこと』

◆CAIより今月のコラム
「サクサクサクラ」

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●『読者からの名句を一つ』
「後悔より 先に立つのがおちんちん 立ったらつけよう コンドーム」
思わずうなってしまいました。

○『小学校の養護教諭の先生からのお便り』
おちんちんの小さな冊子(OCHINCHIN)を大きくコピーして絵本にしてみました。保健室に来ていた女子が数人で色をぬってくれて、絵本になりました。また、絵本のおちんちんは虹色のおちんちんになりました。保健指導後、数人の男の子が自分のことをこっそり話してくれたり、絵本を手にとって読んでいます。
「おちんちんの先は、シャワーのように穴がいっぱいあいているかと思っていたけどちがっていた!」
「ためしてみたら、まっすぐとんだ。」など、子どもたちは、少しずつ自分のからだに興味を持ってきたようです。

●『「きのこだ!」』
先日の外来で初めて自分の亀頭部を見た時に3歳の子が思わず叫んだ言葉です。親も、看護師も、そして何より私がうれしくなりました。
子どもたち一人一人は本当にすばらしい感性を持っています。私は自分の外来に来る人たち、学校現場で接する一人一人の若者、そして公衆衛生の現場にいる一人一人の人たちとの接点を大事にしたいと思っています。それらの接点が私にとって大切な、そして失いたくないものでした。4月からの転職について「どうして」という疑問を抱いている方が多いようでしたので、今回は自分自身の転職の言い訳的なテーマ、「大切なこと」としました。

○『大切なこと』

●『人と接する面白さ』
私が医者になったのは、私の成長を中学2年生から高校3年までの寮生活を見守ってくださった舎監の奥さんの一言「岩室君って医者がむいていると思うよ」でした。今は医者になって本当によかったと思っています。確かに給料は悪くはありません。しかし、それ以上にすばらしいのは一人一人の患者さんから多くのことを教われるということです。こっちが治療してあげているというより、一緒にいい方向に向かって歩ませてもらっているという感覚です。エイズ対策で関わる若者もしかり、公衆衛生現場で一緒に悩んでくれる人もしかり、結局多くの人とコミュニケーションが取れること、そしてその中から新たな気づきが生まれるというのが人と接する仕事の面白さです。

○『決断の時』
この4月1日から厚木病院が県立病院から厚木市立病院になりました。私は今まで県の職員という立場を活用し、ある時は保健所の立場で、ある時は病院の医者という2足のわらじを履いていましたが、県の職員が市の病院で診療をすることは無理だというのは役人生活22年の私が一番わかっていました。保健所にいつづけるか、それとも転職するかと迷っているうちに2002年9月4日、運命の日が来ました。
今度勤めるのは地域医療振興協会という母校の自治医大卒業生を中心とした地域医療の充実を目的に設立された団体です。僻地医療の充実については順調にその社会的役割を果たし、社団法人としてもいろんな公益事業に取り組んできたのですが、今後さらにどのような公益事業を展開するのがいいのか相談したい、ということで久しぶりに社団のAさんと酒を酌み交わした時の会話。
A:岩室さんはどんな公益事業が大事だと思いますか?
岩:これからの公益事業ならやはり保健医療福祉を一体として推進することを基本に、市町村支援、それも健康日本21、健やか親子21といった計画の地域版づくりを専門的に支援するしかないでしょう。
A:誰がどのようにやるのがいいんですか。
岩:それなら私をやとってみませんか。
A:どんな条件があれば岩室さんは来てくれますか。
岩:厚木病院の僕の外来を週一回続けさせてもらえればOKですよ。
A:それはまったく問題なしです。じゃ決まりですね。
岩:よろしくお願いします。
こんな具合で私の転職が決まりました。

●『一人一人がくれる感動』
自分でも何となく酔った勢いで決めて後悔しないかと思っていました。しかし、半年経った今、正直まったく後悔していません。あと3年県にいれば年金ももらえた、とか、いずれ保健所長、県庁の衛生部長を狙うんじゃなかったの、と言われるほど、自分が一番大切にしていたものが見えてきました。それは外来で一緒に歩んできた一人一人の患者さんたちだったのです。その人たちから離れてはいけないということを気づかせてくれただけでも今回の転職は私にとって意味のあることだったと思っています。
私がいろんなところで講演していること、こうやっていろんなところに書いていることは実は自分の創作ではなく、一人一人の生きた人たちが、そして生きていた人たちが教えてくれたものばかりです。もしそのような人たちとの接点がなくなれば私はこうやってメルマガを出し、皆さんに読んでもらうこともなかったと思います。

○『公務員歴22年でいただいたもの』
しかし、公務員歴22年は本当に貴重な財産になりました。1981年(昭和56年)に医者になったときから神奈川県の職員として勤務してきました。当初は9年間の義務年限を全うしたら自治医科大学泌尿器科学教室に戻って教授を目指すつもりでしたが、僻地勤務の青野原診療所では事務職の方や看護師さんに支えられ多くの患者さんに来てもらって売り上げが7倍増、津久井町の清田保健師さんと組んで寝たきり何年のトラさんが歩けるようになり、小学校6年生のマツモト君とダイエット競争をして今は見る影もないくらいですがスマートになりました。がんセンターでは手術だけではなく論文の書き方を叩き込まれ、いつの間にか文書を書くことに慣れ、本、論文、学会発表、等、いろんなところに首を突っ込むようになりました。
津久井保健所では津久井町の清田保健師さんや事務職の方たちと健康づくりアンケート調査をまとめ、城山町の升井保健師さんたちとは保健計画を手づくりで完成させその後は保健計画策定マニュアルを自費出版しました。秦野保健所では腎エコー検診で他の検査方法では発見できない先天性尿路奇形のスクリーニングシステムを立ち上げるとともにエイズ・性教育にはまっていきました。厚木病院に先駆けて秦野保健所伊勢原支所でおちんちん検診を開始し多くのお母さんたちに喜ばれました。鎌倉保健所では精神保健福祉対策に、平塚保健所では結核と痴ほう老人対策に没頭し、厚木保健所では役人の保健予防課長としていろんな動きに関わるようになりました。周囲から見れば「公衆衛生行政」を楽しんでいる岩室は将来県庁に勤務して衛生部長を目指すのであろうと映っても仕方がなかったと思います。

●『自分にとって大切なこと』
しかし、「岩室紳也」にとってもっとも大事なことは一人一人の方々との日々の出会いであり、これからも大切にしたいのは自分にいろんなことを教えてくれる患者さんたちでした。そんな思いから「厚木病院の週一日の外来」というのが仕事の上での私の生命線だと気づきました。
公務員を続けていけば生活は楽で安定したものになったと思います。しかし、役所の柵を取り払って全国展開でやらなければならないエイズ対策もたくさんあります。保健医療福祉計画もしかりです。包茎については少し裾野を広げるため、第2土曜日に東京でも「おちんちん外来」を始めます。これからはじめる第2の仕事人生ですが、皆様、よろしくお願いします。

連絡先
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3 都道府県会館15階
(社)地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター
TEL 03-5212-9184  FAX 03-5212-9185

火曜日
〒243-8588 厚木市水引1-16-3 厚木市立病院泌尿器科
TEL 046-221-1570  FAX 046-222-7836

第2土曜日予約制
〒162-0843 東京都新宿区市谷田町1‐10保健会館新館2F
(社)日本家族計画協会市ヶ谷クリニック
TEL 03-3235-2694

NHKでエイズ関連の番組に出ます。
NHKスペシャル・21世紀日本の課題
放送予定4月26日(土)19時半〜20時45分

◆CAIより今月のコラム

「サクサクサクラ」
いい季節になってきましたね。
桜も見頃で、満開で。

あー、あといつまで咲いててくれるんだろー?
お花見大好きなんですよー。
ソメイヨシノ、いいですよね〜。
キムラヨシノ、もっといいですね〜。
ねー、ばかでしょ〜?それくらい好きなんですよー、お花見。

ブルーシート広げて場所取りの昼寝、いいなぁ〜
そのブルーシートをじーっと見てると空が真っ赤だったりして。
それは補色残像っていって、網膜が同じ刺激に疲れちゃって
ありもしない反対側の色を見ちゃうんです、なんてねー。

こんな小ネタでよければなんでも話しますので、ぜひ、あなたのお花見にもまぜて〜。たのむ〜。

ほんと、お酒大好きなんっすから♪

M.M